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2023/05/27 17:34

「橘紋」の由来と特徴


「橘紋(たちばなもん)」は、橘の実と葉を図案化した家紋です。この文様は平安時代末期頃に現れ、江戸時代には90家余りの旗本が使用し、蔦紋や桐紋とともに日本十大家紋の一つとして挙げられています。橘紋は、元明天皇が葛城王に橘姓を下賜したことに由来し、橘系の氏族や橘氏の後裔を称する家や他の氏族が家紋として用いました。『見聞諸家紋』には、薬師寺氏(丸に三つ立ち橘)や小寺氏(藤巴に三つ橘)が文献上初めて登場しています。

井伊氏や黒田氏なども橘紋を使用しました。黒田氏の橘紋の由来は、黒田職高が小寺氏に仕えた際に下賜されたことによるものであり、井伊氏は井伊共保が生まれた際の故事に由来すると言われています。また、日蓮宗の寺紋「井桁に橘・日蓮宗橘」は、開祖の日蓮が井伊氏一族の出身であることに由来していると伝えられています。

京都府八幡市の「石清水八幡宮」では、八幡神を勧請した僧・行教の紋章が橘であったため、橘紋と三つ巴が神紋とされています。また、本殿の彫刻には真ん中に橘の実があり、その実の両側から鳩が向かい合っている形状のものがあります。本殿の前には左右に橘の木が植えられており、授与品として橘の実を使用した御神酒も作られています。また、京都市右京区の梅宮大社では、橘氏の氏神であることから橘紋を社紋として使用しています。

橘紋はその優美なデザインと由緒ある由来から、日本の家紋の中でも特に重要な存在です。その特徴や起源は、日本の歴史や文化の一端を物語っています。