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2023/05/27 17:58

【木瓜紋の由来と特徴】

日本十大家紋の一つ「木瓜紋(もっこうもん)」は、元は有職文様であり、瓜を輪切りにした断面や鳥の巣を図案化したとされており、子孫繁栄を祈る家紋である。この木瓜紋は唐の時代の中国で使われた有職文様の一つ「窠紋」に由来しています。窠紋は官服の布生地を織る際に異なる色の糸を決まった位置で表地に現れるように作られる文様で、日本での木瓜紋は窠紋の一つを取り出した意匠になっています。茂った木瓜の花を中心に、周囲を外郭弁で囲んだ形状が基本とされています。

【木瓜紋の多様性と歴史的な使用例】

木瓜紋は、奈良時代以降主に刺繍によって制作されていましたが、染色技術の進歩により繊細で複雑な模様の紋の制作が可能になりました。また、木瓜紋にはさまざまなバリエーションがあります。桐紋や蝶紋、文字紋など他の家紋と組み合わせることで、「木瓜二つ引き」「丸木瓜」「竪(立ち)木瓜」「庵に木瓜」「三方木瓜」「四方木瓜」「剣木瓜」などの多くの種類が存在します。また、武家や木工職人に携わった官職・家系には独自の木瓜紋が見られます。織田信長・織田氏の「織田木瓜」や工藤氏の「庵木瓜」などがその代表例です。

【木瓜紋の広まりと文化的な意義】

木瓜紋は家紋としてだけでなく、神紋としても広く使用されています。全国の祇園神社や八坂神社など、多くの神社が木瓜紋を神紋として採用しており、高良大社や養父神社でも見られます。また、木瓜という文字はキュウリとも書かれ、京都や博多などの地域では祇園祭の期間中にキュウリを食べない慣習があります。木瓜紋はその存在感と歴史的な意義から、日本の文化や伝統において広く愛されています。